原田英代シューベルトチクルスⅤ

シューベルト『冬の旅』

ローマン・トレーケル(バリトン)
原田英代(ピアノ)

東京オペラシティ・コンサートホールにて


今日は2階レフト席。こういう↓景色だった。(開演20分前の画像)
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実際にはもっとステージもピアノも近くに見えている。
こういう席なので正面で聞くのと違い、歌とのバランス等よい条件とは言えない。でも、原田さんの背中越しにたっぷりとピアノを聴くことができ、興味深かった。どちらかというとピアノばっかり聴いていたと言ってもいいかも。

原田さんのピアノはあの陰鬱な作品の主人公の心理描写や背景に見えるものを、ひとつひとつ丁寧に音で描き出していた。感性豊かで才女でもある彼女の中から溢れんばかりにわいてくるイメージが見えてくる。トレーケル氏は安定した歌唱力で淡々と、でも長いこの曲の最後向かって徐々に徐々に集中度を増していくかのようだった。

「春の夢」「からす」等々…印象的な演奏はたくさんあったけれど、特に21曲目の「宿」…ここではシューベルトのほかの作品にも見られる「死への憧れ」の響きが印象的に演奏され、このあたりから最後に向けてぐんぐん内側に迫ってきた。

あれだけの熱演をしてくださった原田さんだけれど、きっとまだまだ「もっとこうしたい」、逆に「したくない」こともたくさんあることだろう。(これは決して不満があったからではなくて、演奏家としての常だから)どんな曲でもそうだけど、特に「冬の旅」のような作品はこれからも何度も演奏して、聴かせていただきたい。5年後、10年後…の演奏が楽しみだ。ほんとに魅力的なピアニスト。

今日の演奏会は大きなオペラシティコンサートホールが8割方埋まっているという盛況ぶり。その中に多くのピアノや声楽の学生さんらしき人が来ていた。若い人たちにこのような演奏をどんどん聴いてもらえることはとってもいいことだと思った。
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